中国嫁のトリセツ

中国人の嫁をもらって気がついたことなどをツラツラと書いています。

2年ぶりの春節を中国農村で過ごす

すっかり休眠状態だが、ブログが書けないのは、ネタの供給源がつきたわけではなく、単にブログを書くためのモチベーションが、他のやりたいことを上回らなかっただけなので許して欲しい。

 

2018年の春節を2年ぶりに中国のムラで過ごした。中国で2年間というと何かと移り変わりが激しいものだが、それは都市部の話であり、田舎ではもっとゆっくりした時間の流れだと思っていた。しかし、今回はいくつが土肝を抜かれた事があった。今回は、そのうちの2つを取り上げたい。

 

 

なお、言うまでもないことだと思うが、これはあくまで嫁の実家の周辺(安徽省)での話であり、他の場所でも皆一様だとは思わないで欲しい。

 

ムラにブロードバンドがやってきた

自分が最後に中国に住んでいた頃(2013年秋)は、ようやく携帯電話の4Gが本格的に普及し始めた頃で、ムラでインターネットをするには、スマホを使って、途切れ途切れにつながるChina UNICOMの3G/LTEを使うしかない状態だった。ムラの意識高い系の人(医者など)は、上网机と呼ばれるPCのUSBポートに挿すタイプの機械を使っている人がいたが、一般の人には普及しているとは言いがたい状態だった。

 

それより少し前には、携帯電話の普及によって、固定電話の解約が進んでいる様子も見ていたので、おそらくADSL的なものは来ずに、このムラにネットが普及する時には、何かしらの携帯電話網を使ったものになると、当時は予想していた。

 

予想は半分当たり?

負け惜しみで「半分当たり?」と書いたが、予想の斜め上の方向を行く展開が待ち構えていた。村に行く数週間前のことだろうか?嫁の実家にネットがつながったという情報が流れてきた。あまり、この方面に明るくない嫁を通じての情報だったので、具体的にどのような接続形態かは分からなかったが、嫁によると日本の家で使っていないWi-Fiルータを持参しろという。どこかの会社が安い上网机でも配り歩いたのかなと想像。 

 

さて、最寄りの街に到着して、そこからムラに向かう道すがら、車窓から見えたのは、どこかで見たことのあるロゴがペイントされた電柱が数十メートルおきに立っている光景だった。 

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移動の電柱

ん?このロゴは確か中国移動(China Mobile)だったよなと思いつつ、嫁の実家に到着。早速ネットが出来るようにということで、Wi-Fiルータを取り出そうとしたところ、そんなものなくてもネットが出来るという。日本で言うと、Flets 光のようなサービスで、Wi-Fiルータも1台付いてくるとのことだった。 

 

何でも、中国移動がムラ中に光ファイバー網を張り巡らすという荒技をほんの数ヶ月でやってのけたらしい。高速鉄道網をあの速さで建設していく国の事である。光ファイバー網を張り巡らせるなんて大したことないのかもしれない。

 

料金プランはこんな感じ

ムラの中を散歩していると、料金プランが張り出されていた。ちなみに中国では国策で農村部の公共料金は都市部よりも安く設定されている。

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料金プラン

中国移動が出しているので、携帯電話とセットなのは想像通りだが、結構な太っ腹ぶりである。「寛帯」がブロードバンドを表すのだが、費用のところに「0元」と書かれており、こちらはオマケ扱いである。ネットと言っても、使わない層も想定して、光ファイバー網を使ったテレビ放送もセットになっている。4K高清電視ともあるが、中国ではブラウン管テレビがまだ現役のところもあるので、4K放送が享受できているかというと微妙なところではあるが。。。

 

ゴミ収集始まる

これも、日本にいる人が見ると、「何それ?今さら?」と思うかもしれない、むしろdisるネタにするのかもしれないが、ムラでゴミ収集が始まったのも、個人的には驚いたことの1つである。

 

ムラのゴミ収集所

これが始まるまでは、燃えるゴミは各自焼却処分するなり、生ゴミは埋めて土に返すなどしていたが、行政がゴミ収集を行う事になったようだ。これは、新設されたゴミ捨て場の例である。

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ゴミ捨て場のイメージ

ゴミ捨て場は、どの家からも徒歩数分でたどりつけるように数百メートル単位で設置されていた。上のように細かい説明が書かれた収集箇所は大きな集落に1つ程度で、それ以外の場所は、大きめのポリバケツ(上の黄色と青いやつと同じようなサイズのもの)が2つずつ置かれているような感じだった。

 

隣組方式&プロパガンダ

それとは別に、各戸には小さめのポリバケツが2つずつ配られ、1つは腐って土に返るものと、腐らずに土に返らないものという分け方がされていた。また、これまでのように家の周りに勝手にゴミを捨ててはならぬということで、数戸ごとに相互チェックをするような仕組みがあるようで、責任者の名前などが家の前の分かりやすい場所に貼りだしてあった。

 

こういうところは、社会主義的だなと思うものの、短期間に新しい制度を普及させるためのやり方なんだろうなと変に納得した。ちなみに、ゴミの分別収集普及のスローガンを書いたムラアートがあちらこちらに描かれていたのが印象的だった。

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スローガン

 これより、美術的に美しいなと思うものもあったが、なぜか写真に撮り忘れていた。。。あとは、絵ではないが、ゴミの分別収集は貧困脱出のためなんだよというスローガンも結構書いてあった。

 

ちなみにゴミ処理場は?

こちらも写真に撮り忘れたのだが、街から街へ移動している間の山間部に、ゴミの最終処分場と思われる施設を見かけた。広大な谷間が掘られて、そこに黒いシートのようなものが敷き詰められ、そこのほんの一部にゴミと思われるのものが積み上げられていた。おそらく、ゴミの回収が始まってまだ日が浅いのだろう。聞くところによると、その市で集められたゴミが集められて処分されるとのことだった。これだけの施設で何年持つのだろうかとか、シートが破けたりすることによる環境への影響はないのかなどと少し心配にはなったが、2年前には影も形もなかったものが姿を現している事には素直に驚いた。

 

遅れている?今はね。。。 

2018年になってブロードバンドが開通したり、行政によるゴミの収集が始まったと聞いて、都市部とは違って農村部はまだまだと思うかもしれないが、個人的には変化のスピードに非常に驚かされた。もちろん、ブロードバンドの質だったり、ゴミ回収のシステムにも何かしら問題があるまま走っている可能性は否定しないが、少なくとも都市部でのすさまじい発展の恩恵を農村部が受け始めているように感じたのは確かだ。(もっと内陸部ではどうなっているかは分からないけど)

 

周縁からの市場経済化―中国農村企業の勃興とその展開過程