中国の方言
自分が中国語学習を始めた10年ぐらい前は、PCに中国語入力環境を用意するだけでも結構大変だったのだが、今はGoogle Pinyinみたいに、無料でダウンロードできるツールがある。このGoogle Pinyin。こんなオプションがあるのをご存じだろうか。
これは「あいまいピンイン(模糊拼音)」という機能で、普通話では別の発音と区別されているものの、地域によっては同一の発音となっているようなケースに対応するものだ。自分のように最初から中国語を外国語として習っている場合には、このようなオプションは必要ないのだが、逆に中国の地方出身者の場合は、このオプションが役に立つのだろう。
上の3つのオプションなんて、南方人特有のやつでhが落ちるパターンだ。自分は上海、つまり北か南で言えば南方で過ごした時間が圧倒的に長いので、この手の"h"が落ちる人の発音はよく聞いてきた。ある日、商店で買い物をしたときに、たまたまお会計が44元だった事があるのだが、四川出身と思われる小姐は、絵に描いたように、
小姐「すーすーすー」
と発音していた。実際には声調が正しく4声、2声、4声と発音されていたので、その場では全く困らなかったが、この中国語の早口言葉が頭に浮かんだ。
「四是四、十是十、十四是十四、四十是四十」
siとshi、かつ2声と4声の組み合わせだけなのだが、やってみると結構難しい。
さて、うちの嫁(ランラン)の地元も方言がある。特定の意味を表す語彙そのものが入れ替わるケースもあるが、それよりも発音が変化する(なまる)パターンの方が多い。例えば、ai(アイ)という発音がエーのようになったりする感じで母音が続くケースは必ず変化する。上海周辺の呉方言の特徴の一つらしい。ランランと家族はもちろん方言で話すのだが、パターンさえ慣れてくると、何を言っているか少しずつ分かるようになってくる。
もう1つ特徴的なのは、上のGoogle Pinyinのオプションにもあったが、nとlの発音が混ざるのだ。さすがに中国語の普通話を使っているときは、学校教育のたまものできちんと矯正されているのであるが、日本語で話しているときに、この癖がたまに顔を出して、ナ行とラ行が混ざり不思議な状況が発生したりする。
ランラン「ナイフ買い物に行く」
土井さん「は?今なんて言った?刀子買いに行く?」
ランラン「そうぢゃない。ライフに買い物に行く」(ライフは地元のスーパーの名前)
本人の名誉のために言っておくと、わざと間違えて楽しんでいるらしいので、そういうことにしておこう。