中国嫁の夫の中国語力(1)
中国嫁が日本に滞在する場合、最も一般的なものは「日本人の配偶者等」という身分で滞在許可を取る事になると思う。一部、仕事をしている場合など、いわゆる就労ビザを取得して滞在というケースもあるかもしれないが、転職だとか職を失った場合など、いろいろと制約となる部分がある。一方の「日本人の配偶者等」の場合は、就労制限が一切ないので、その点を心配する必要がない。知人の中国人夫と日本人妻のカップルも、夫が日本で働いている間、日本人妻は専業主婦だったが、それでもその中国人夫は「日本人の配偶者等」のビザを持っていた。理由を聞くと「職が自由に変えられるから」という答えをもらって、妙に納得したのを覚えている。
その「日本人の配偶者等」での滞在許可を得るためには、いろいろと書類を準備しないと行けないのだが、その中にアンケートがあり、出会ってからの経緯だったり、いろいろ小っ恥ずかしい事を書かされる。その中の質問の1つに、こんなものがある。
Q. 配偶者とのコミュニケーションは、どのように取っていますか?
うちの場合は、中国滞在中も含めれば、相当つきあいが長いので、本音を書くと、こんな感じだろうか。
嫁が中国語を話そうが、日本語を話そうが、仮にそれが多少文法的に壊れていようが意図する事は分かるので何の障害もない。逆に、こちらが日本語で話そうが、壊れた中国語で話そうが、向こうもこちらの意図がくみ取れないケースは、ほぼ皆無である。
なので、実際の会話は、こんな感じで日中チャンポンになる訳だ。
ランラン「你把那个xx洗一下」
土井さん「今忙しい」
ランラン「你那么懒!」
土井さん「だれが怠け者じゃ?」
ランラン「あなだ、ラマケモノ」(怠け者と言っているつもり)
端的に言ってしまえば、向こうが日本語で話しているか、中国語で話しているかは意識していない(ような気がする)。こちらが返すときも、同じで結果的に日本語で返す時もあれば、中国語で返している時もあると思う。てか、ほとんどのご家庭ではそうではないだろうか?
ただ、一応ビザの申請書類なので、丁寧にこんな感じで書いたのを覚えている。
妻と会話をする場合は、まず日本語で話して、万が一意図が理解できない場合は中国語に切り替えるなどして、意思の疎通が出来るまで繰り返します。妻は生活に支障がない程度の日本語を話す能力を有しており、私も中国語学習歴が長く、コミュニケーションに支障が出ることはほとんどありません。
嘘は書いていないが、コミュニケーションに支障がないことをアピールする文面になっているという訳だ。
話は、戻るが始終こんな感じの会話なので、ランランと会話していても、これ以上中国語能力が上がる事はないと思う。上海に住んでいるときは、会社の人と会話すれば良かったが、日本ではランラン以外の中国語話者と会話する機会も相当少ないので、残念ながら退化が始まっているのではないかと思う。
(つづく)